先日2018.3.25(日)に、以下のような記事が新聞に取り上げられました!
『 平昌五輪のスノーボード女子ハーフパイプに出場した今井胡桃(くるみ)選手(18)が25日、岐阜県郡上(ぐじょう)市高鷲町西洞のスキー場、高鷲スノーパークで滑走中に他の利用者と衝突し、頭部打撲や右胸血気胸の重傷を負った。
県警によると、今井選手は25日午前10時20分ごろ、スノーボード専用の上級者向けハーフパイプを利用中、ほぼ同時に滑り始めた京都市の派遣社員の男性(47)と交錯したという。男性も左足打撲などのけが。 今井選手は長野県上田市出身。平昌五輪は15位で予選敗退だった。』 引用元:朝日新聞 |
自分でも良く行くスキー場だったので、ビックリしました。
別記事でも紹介していますが、事故の起きた高鷲スノーパークは1999年にオープンした現存するスキー場の中でも新しいスキー場です。
詳細は『奥美濃エリアのトップに君臨する高鷲スノーパーク』を参照ください。
ハーフパイプとは?
1998年長野オリンピックからスノーボードが、2014年ソチオリンピックからスキーがそれぞれ正式種目となる。左右のリップを往復し、5-7回のジャンプをする。採点は全体的印象、回転、標準技、技の大きさなどを50点満点方式で採点される。
年々サイズが大きくなっている傾向があり、今では高さ6.5Mのスーパーパイプもあります。
現在では日本国内でハーフパイプを常設しているスキー場は、それ程沢山ありません。
岐阜県でも高鷲スノーパークとウイングヒルズ白鳥しか常設していません。
中でも高鷲スノーパークはスーパーパイプとレギュラーパイプの2本を常設しており、
スーパーパイプのスペックは、全長120M、高さ6.5Mで2018年から斜度が変更され、世界大会レベルと言われております。
レギュラーパイプのスペックは、全長120M、高さ3.5Mで、比較的初心者の方でも入りやすくなっています。
2014年のソチオリンピック銅メダリスト、平岡卓選手が高鷲スノーパークのスーパーパイプで子供のころから練習していたのは有名な話です。
用語解説
ハーフパイプに関して専門用語がありますので、分からない方に対して少し簡単に説明します!
こちらは、実際の高鷲スノーパークのスーパーパイプの写真です。こちらで説明していきます!
リップ
競技者が空中に飛び出すあたりのことをリップと言います。基本的にリップの整備がきちんとされていないパイプは危険です。機械を使って形を整えますが、リップの最終的な整備は手作業でおこなわれます。
競技者自身も安全のために、必ず一番にリップを確認しています。
ボトム
ハーフパイプの底になる部分です。このボトムでのスピードがリップから飛び出してからの高さに直接影響します。
6.5Mクラスのスーパーパイプでのボトムの速度はとんでもなく早いものになります。
プラットフォーム
リップから登った平らな場所のことを言います。練習中の選手はここを歩いて上まで登っていきます。
因みに歩いて登っていくことをハイクと言います。
高さ
ハーフパイプの高さは、ボトム(底)からリップ(飛び出し口)までの距離を表しています。
良くあるハーフパイプの事故
今回のような他の人との接触事故は極めて稀な例です。ここでハーフパイプで良くある事故(単独の怪我)の例を説明します。
プラットフォームに落ちる
パイプの形が開いている場合などに起こりやすいのですが、リップから飛び出て再びリップに返ってこれずにプラットフォームに落ちてしまい怪我をする。
リップに引っ掛かり転倒
リップから飛び出して戻る際に板がリップに引っ掛かり転倒する。高さがあったり、回転系の技をしている場合は非常に危険です。平昌オリンピックで銀メダリストの平野歩夢選手もリップに引っ掛かり転倒したことによって大怪我を負った経験があります。
ボトムに落ちる
リップから飛び出す際にリップを蹴りすぎてしまったり、パイプの形状が閉じていたり(リップの角度が内側に入っている)した場合に起こり、その際に転倒して怪我をする。
わたしもハーフパイプの経験はありますが、ハーフパイプでの怪我の原因はこの3つに当てはまるのではないでしょうか?
パイプを利用するにあたってのルールとは?
そもそもハーフパイプはやってみようと思っても、いつになったら入っていいのか?どうやったら良いのか?
基本的には誰も教えてくれません。(ここが一番問題だと思いますが・・・)
パイプの上部(スタート地点)にはスタート場所を示す看板があったりします。
通常は、両端とセンターの3ヵ所からスタートする場所を選べます。そこから順番に手を挙げて自分が今からスタートしますよ!
と他の人たちにアピールしてドロップイン(パイプに入る事)します。
昔は、『ドロッ~プ!』と言いながらスタートしておりました!
わたしもそれがルールだとは聞いたことはありませんでしたが、自分の身を守るため、他の人との同時ドロップインを避ける為にやっておりました。
これは正式なルールではなく、利用者の間で広まった暗黙のルールなのではないかと思います。
では、何故接触事故は起きた?
そのようなルールがあるのなら、何故今回は接触事故が起きたのでしょう?
記事では、ほぼ同時にパイプに入り終盤で接触事故が起きたとされています。
まず、同時に入ること自体があり得ないことです。ルールがある通り、自分の順番が来たら手を挙げてスタートしますので必ず他の人と同時にスタートすることはありません。
万が一同時にスタートしたとしても、お互いがそれに気付きどちらかが譲ることになるかと思います。
となると、同時にスタートした上で双方がお互いの存在に気が付かなかった??
私の経験上からは考えにくいことですね。
となるとある仮説を立ててみました!
同時にスタートすることを分かっていてドロップインした!?(仮説)
例えば、片方が初心者で片方が上級者であったとして、同時にスタートしたとしても上級者の方がドロップインする場所を調節して、初心者の人より少しでも先行してしまえば、追いつかれることはない!
そう確信していたとしたら、同時にスタートすることが分かっていたとしても、そのままドロップインしてしまうのではないでしょうか?(もちろんそれでも危険ですが!)
その後、先行した上級者はまさか後ろから追いつかれることはないと確信しているので、集中してパイプをしていた!
少し後ろから入る形になった初心者は、通常では上級者に追いつくことはできないのですが、ボトムを直滑降したり、リップから飛び出すのではなく、バンクのようにパイプを使って滑ったとしたら、初心者でも容易に上級者に追いつき接触することは可能です!
この仮説を分かり難いかもしれませんが、図にしてみました!
※あくまでわたしの個人的仮説となります。
再発防止策
今回は今井胡桃選手が命には別条がないものの、選手生命を脅かすほどの大怪我を負ってしまいました。
誰が悪いかは別にして、正しくハーフパイプを利用する為に事故再発防止策が必要ですよね。
わたしが2018.3.13に行った際にレギュラーパイプに入りました。パイプのボトムで3~5歳くらいのまだ滑ることのできない子供を教えるお父さんがいました。
みんな何も言わずに滑り終えるまで待っていましたが、危険極まりないことだと思います。
スーパーパイプにしても、レギュラーパイプにしてもスキー場側としても何らかのルールを設けなければ、再び事故が起きてしまうかもしれませんね。
また、様々な人がパイプには入ってくることを上級者が理解して自分の安全は自分で守るという意識も必要かもしれませんね。
昔は高鷲スノーパークのパイプには必ず係員がいて、リフト券を持っているかチェックしていました。リフト券を持っていない人はもちろん退出させられますが、リップを削ってパイプの形を変えてしまうような滑りをする人にも退出を命じておりました。
係員の言い方にも問題があったのか、たまにお客さんと言い合いになっているのを見かけました。
このやり方が良いかはわかりませんが、何も知らない初心者はパイプから退出させられますので、パイプ内にはそれなりの経験者しかいなくなり、比較的ルールは守られていました。
やはり誰でもが入れると言うことは、何も知らない人も入ることになるので誰かがルールを教えなければいけません。
白馬岩岳のハーフパイプは昔、リフト券の他に500円払わないと入れなく、入る際も係員から色々な注意を受けて守れない場合は強制退出をさせられていました。やり方は極端ではありますが、安全のためにしていたことなので私は良いと思いました。
今回怪我をしてしまった、今井胡桃選手の早期回復をお祈りするとともに、2度とこのような事故が起きないように対策が取られることを願っております!
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